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船体のマーク(船首部編)
皆さんは、コンテナ船に限らず船の船体に書かれたマークが気になりませんか?
今回は、基礎的な説明ということで、船首部によく書かれているマークをご紹介します。不定期ですが、次回は船尾部、次々回は中央部を紹介します。
なお、知っていて何かメリットになることはないと思いますが、友達などと港を見に行って船が停泊していたらウンチクを語るのもよいかも知れません。
まず、写真を見ていただきましょう。
一番左は形でお判りになると思いますが、「この船には球状船首(バルバスバウ)ですよ」と教えているマークです。四日市港に寄港しているコンテナ船は、地理的に満載にならないので、バルバスバウが見えていますが、満載になると水面下に隠れ見えなくなります。そこで、注意喚起するためのものです。もっと親切なものになるとマークの下に○○mなどと長さが記載されているものもあります。
先日、「ACX DIAMOND」と米艦が衝突した事件で、米艦が水面下に損傷を受けて浸水していますが、このバルバスバウが原因ではないかと言われています。
バルバスバウは、船の推進効率を向上させるので、あらゆる船に取り付けられていますが、コンテナ船のバルバスバウとタンカーなどずんぐりした船体に取り付けられているバルバスバウとでは形状が違います。その違いを見るのも面白いかも知れません。
真ん中の丸に十字があるマークは、バウスラスタマークです。船首左右方向へ降るため、船の前後方向と直角に取り付けられており、接岸時や離岸時に使用します。最近のバウスラスターは性能も向上し、取り付けていない船を見るのが珍しいくらいとなっています。また、一定の出力を持つバウスラスタを取り付けていれば、接岸時や離岸時の船首に配置しなくてはならないタグボートを省略することが出来るので、コストの削減も可能です。
一番右の↓マークですがよく見ると上に「TUG」と書いてあります。これは、タグボートが押す場所を明示しています。一般に商船は、経済的合理性を追求しているため、船体の外板は、皆さんが思っているほど厚くありません。一般に12mmから16mm程度でしょうか。一方港で見かける一般的なタグボートは3,600馬力あり、外板の薄いところで全力で押したりすると凹んでしまいます。それを避けるため、押す場所を明示しているのです。
それでは、どこを押す場所とするのかということですが、そのマーク上の上を見てください。少し判りにくいですが、ちょうどオンデッキに積まれたコンテナとコンテナの間にあります。
実は、船には、1か所穴が開いて浸水しても沈まないよう、隔壁で仕切って被害を最小限度に留めるよう設計されています。その隔壁と隔壁の間にコンテナを入れる船倉やエンジンルームなどがありますが、その隔壁がある場所が、タグマークとして選ばれています。推測になりますが、このマークはNo.1の船倉とNo.2の船倉の間の隔壁を利用しているのではないかと思われます。
この他にも、色々マークがありますが、今回は代表的なものを説明いたしました。