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上海港4,000万TEU突破へ
2017年に入っても世界的な経済の好調に乗って上海港の快進撃は止まりません。2016年では年間3,713万TEUを取り扱っていますが、今年(2017年)は、4,000万TEUを突破するのはほぼ確実な情勢です。ちなみに日本の2016年のコンテナ取扱量は、約1,700万TEUとなっており約2.3倍の量を上海港単独で取り扱っています。
中国・上海港における11月のコンテナ取扱量が360万TEUと月間の過去最高を記録、今年は年間で世界で初めて4,000万TEUを突破することが確実視されている。
上海港のコンテナ取扱量は2014年に前年比5%増の3,529万TEUとなった後、世界経済の減速で2015年が3.5%増の3,654万TEU、2016年が1.6%増の3,713万TEUと伸びが鈍化していたが、今年は1-10月累計で前年同期比8%増の3,328万TEUに拡大し、11月、12月のこのままの勢いを続ければ年間で4,010万TEU突破が予想されていた。(2017年12月10日Cyber Shipping Guideより)
上海港のコンテナ取り扱いの最大拠点は、上海市南部の沖合約30キロに位置する大・小洋山島にある洋山港です。それまで、小さな島々にしか過ぎなかった場所を大規模に埋め立ててコンテナターミナルを整備するプロジェクトが1995年にスタートしました。1期目のコンテナターミナルは2002年に起工し、05年に稼働しました。2期目のコンテナターミナルは06年、3期は08年にそれぞれ稼働し、現在は1〜3期で岸壁5600メートル(16バース)、CY面積計8平方キロメートルを整備、現在、東西基幹航路を中心とする大型船のコンテナターミナルとして稼働しています。当初計画では1〜4期までのコンテナターミナルの建設が予定されていて、今回の4期目のコンテナターミナルがオープンしたことにより一段落となります。
世界最大のコンテナ港湾、中国・上海港で10日、新コンテナターミナル(CT)の洋山4期CTがオープンした。上海市政府によると、洋山4期CTは岸壁線2350メートルに7バースを設置、年間取扱能力は当初400万TEU、将来的に630万TEUに拡大する。これにより、同港全体での取扱能力は年4000万TEUを突破する。「自主開発した全自動化ターミナル」として、10基設置したガントリークレーンや40基の軌道式トランスファークレーン(RMG)を遠隔操作としたほか、コンテナドレージで無人搬送車(AGV)50台を導入した。
洋山4期CTは敷地面積223万平方メートル、上海国際港務集団(SIPG)傘下の尚東コンテナターミナル分公司が運営する。船舶とコンテナヤード(CY)のオペレーション、荷役とその他生産作業で自動化システムを導入したとし、ガントリークレーン、RMGをコントロールタワーの遠隔作業台から作業指示するほか、専用のAGVがシャトルサービスでドレージする。(2017年12月12日付け日刊カーゴより)
整備の速さ、規模、それに全自動化ターミナルでの整備など、日本では考えられないスケールに驚かされます。お国柄と言われればそれまでですが、世界のコンテナターミナルの技術や規模は、こうしたスピードで進んでいます。日本での全自動化ターミナルは何処にもなく、唯一、名古屋港の飛島南埠頭コンテナターミナルでAGVを使った半自動化ターミナルがあるのみです。
CTの自動化ターミナルは、最近になって世界各地で開業が相次いでいる。現在、欧州ではオランダやドイツ、ベルギー、英国の主要港湾、アジアでは釜山新港、オーストラリアなど、世界で30以上のCTが自動システムを導入している。その中で、中国では昨年末から厦門、青島に続いて上海・洋山で自動化ターミナルを開業。先行していた欧州諸港を追い上げる形となっている。(2017年12月12日付け 日本海事新聞より)
(日本経済新聞より:写真は名古屋港飛島南埠頭CTのAGV)
日本では、港湾労使の問題などがあり、自動化ターミナルの整備を行うことは現状難しい思いますが、世界ではこうしたコンテナターミナルの動きがある中で、どのように対応していくのか注目していきたいと思います。