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国際物流事業者要覧(2017年版)

価格:3,024円
(2017/12/14 06:03時点)
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2016年のコンテナ貨物の動きA

続いて、アジア域内及び日中航路のコンテナ貨物量です。(日中間のコンテナ貨物量はトンであることに注意。)

 

まず、アジア域内でのコンテナ貨物量は約1,350万TEUで、前年比で見ると減少していますが、貨物の発生地、消費地として依然として大きな地位を持っています。

 

に日本→アジアですが、約150万TEUで前年比-4.6%アジア→日本では、約220万TEUで前年比+0.7%でした。

 

この数字をもって断定することはできませんが、これまで、色々な荷主企業さんにお話を伺ってきた物流事情などを総合すると、従来、日本国内工場で行っていた複雑な加工組立の工程も、海外拠点に移っていく流れがあるため、輸出が減り輸入が、ほぼ横ばいの状況になっているのではないかと思います

 

判りやすく言うと(本当に極端な例ですが)、

 

@ある製造業の簡単な組立工場が海外A国に移転。A国から基礎部品を作り日本へ輸出、日本で付加価値を付けて最終部品や製品を輸出。(従来)←日本の輸出入増に寄与

 

Aより複雑な組立工場が海外B国へ移転、また、その後の工程もC国へ移転。A国→B国→C国と日本を抜いた物流が発生。C国の工場から直接消費地に向けて製品を輸出するようになった。(現在)←日本の輸出入、特に輸出は大きくマイナスとなる。

 

あまり悲観的になりたくはないですが、大きく状況が変わらない限り、今後も輸出入の減少が続き、特に輸入よりも輸出のマイナスの大きい状態が続くのではないでしょうか。従来、日本が担っていた機能は、少しづつ、しかし確実に東南アジアを中心とした地域に移転されているというのが私の見方です。私の見解が外れてくれることを願ってやみません。

 

次に、世界の工場と呼ばれる中国との日中間のコンテナ貨物の推移です。

 

2016年の日本から中国への輸出は、約1,100万トンで横ばい中国から日本の輸入は、約2,100万トンで-0.2%となっています。

 

日中間の貿易量で見る限り、日本にとって中国が主要な貿易相手国(2015年の財務省資料によれば、輸出ではアメリカに次いで第2位、輸入では第1位)ですが、ここにきて急ブレーキがかかってきているように思われます。

 

こちらも、色々な企業さんからの話を総合すると、中国国内の政治リスクや経営リスクが顕在化していること、また、近年、人件費が大幅に上昇していることなどから、近い将来の移転先として、中国を避け、ベトナム、タイ、フィリピン、インドネシア、インド方面を挙げています。また、現在、中国に進出している工場でも、既に中国から他国へ機能移転しているような事例もあります。

 

現在の資本主義の原則から言うと、人件費のより安いところに移転していくというのはやむを得ないと思われますが、今後、そう言った拠点を担うであろう国々から、日本が位置関係的に離れていくことを非常に懸念しています。また、将来的には、東南アジアや南アジアの次は、アフリカ諸国が世界の工場になるだろうという見方をする方もいます。

 

いずれにしても、日本にとって今後も厳しい状況は続くのではないでしょうか。

 

アジア域内・日中航路コンテナ貨物量

 

 

 

 

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